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천성인어

天声人語 2007年06月02日(土曜日)付

   新横綱の白鵬が、明治神宮で土俵入(どひょうい)りを初披露した。両腕を大きく広げて体をせり上げるのは、「攻(せ)め」の姿勢を表す不知火型だ。万緑の中、新しく打った綱の純白が際だっていた。

 清新に響くしこ名は、大鵬と柏戸が覇を競った柏鵬時代にちなむ。周囲はずばり「柏鵬」と考えたが、少し遠慮して木偏をはずしたそうだ。「鵬」は中国の古典「荘子」に描かれた、ひと飛び九万里の伝説の鳥。名前負けしなかったのは、さすがである。

 名前をもらった「柏」と「鵬」は、対照的な気質と取り口で、60年代に黄金期を築いた。柏戸が豪胆なら大鵬は緻密(ちみつ)。柏戸は一直線、大鵬は自在。攻めまくる柏戸を、大鵬が懐深く受けてしのぐ土俵はテレビ桟敷を熱くした。

 70年代には「輪湖」(輪島、北の湖)、90年代末には「曙貴(あけたか)」(曙、貴乃花)と双璧(そうへき)の時代があり、来場所からは朝青龍との「龍鵬時代」である。龍も鵬も外国人なのを、新しいと見るか、寂しいと見るかは、それぞれだろう。だが、22場所ぶりの東西横綱に、賜杯争いの興味が膨らむのは間違いない。

 名行司と言われた第28代木村庄之助さんは、横綱の土俵を数多くさばいてきた。ある雑誌に「戦っているときは獣でいいが、その前後は常に神聖な力人(ちからびと)でなくては」と話している。起居の美しさを欠けば、二枚看板も色あせてしまう。

 不知火型の横綱は、短命に終わるというジンクスがあるという。しかしまだ22歳である。片や朝青龍は雲竜型、26歳。モンゴルも日本も熱くする心技体を磨いてほしい。