5年前のきょう、東京新聞が〈東京湾で大油田発見〉と報じた。同紙恒例の冗談記事の中でも「傑作の誉れが高い」と『世界のエイプリルフール・ジョーク集』(鈴木拓也、中公新書ラクレ)が紹介している。大油田が本物なら、そろそろ安い国産ガソリンが出回る時分だろうか▼
暫定税率の期限切れで、ガソリンの税金が本日から1リットル25円下がる。ただし、5月には元に戻るかもしれないという。例年ならそのまま四月馬鹿で通用するほどの、へんてこな話である▼
今この話題で「馬鹿」をやろうと思えば、〈政府は財政の穴を埋めるため、飲食店に1品25円の揚げ物税を課す方針を固めた。メタボ対策も期待する〉ぐらいのでたらめが必要だ。お粗末な政治が冗談を実話にし、ホラ話の作り手を泣かす▼
江戸の昔、灯火に使う菜種油は必需品で、油に絡む混乱は官民が恐れた。かの大岡越前も油価の安定に気を使い、油問屋たちの価格つり上げを罰したと伝えられる▼
日常生活に深くかかわる品の値段が乱高下しては、世情は定まらない。値上げづくしの春、ガソリン値下げはありがたく、干天の「慈油」には違いない。とはいえ、ひと月限りの慈雨では客も店も、自治体も混乱するばかりだ。ぬか喜びはすまい▼
江戸の髪油売りは、客のご婦人たちと雑談しながら商いをした。転じて、仕事の時間を浪費することを「油を売る」と言う。永田町で油を売り合った「政治のツケ」(福田首相)が「さまよえる25円」だ。油田でも見つからない限り、この国の誰かが被(かぶ)ることになる。
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